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adore倉庫

右側兄さんのSS置き場。がくカイが主。
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昨日の続きっぽいもので、がくカイにしてみた。

がくカイ書くのが楽しすぎてどうしよう、とかいう最近なオチ。
あっさりお持ち帰られた。でもきっと、精神的には兄さんのほうが強いはずなんだ!










 ふらふらとリビングを出て行く後ろ姿に、「ちゃんと寝るのよー」と声を投げ、またもたれかかろうとした。だが、背もたれになるようなものはなく、危うく転倒しそうになる。
 さっきまでは、確かにあったはずだ。
 ゆっくりとまばたきをしながら、背後に視線を動かす。ぐったりとしたカイトを抱きかかえる神威に、「あら」と小さな声を上げた。

「潰れちゃった?」
「いや、まだだが……時間の問題だな」

 自分の腕に座らせるように膝裏に回された手と、背中を支える手のひら。子供を抱くような状態に思わず、

「……姫抱きじゃないのねぇ……」

 と零してしまった。
 カイトは必死に隠そうとしているが、神威は気にしていないらしく、自分たちの関係を隠そうともしない。
 だから、今もてっきりその抱き方で連れて行くのかと思ったのだが……。
 メイコは何気なく零したつもりだったのだが、神威にとってはそうではなかったらしく、どこか気まずそうなばつの悪そうな色が浮かんだ。

「……この間、それをやって怒られたばかりだ」

 少し口早に告げられた内容に、初めはきょとんとしていたのが、意味を理解すると盛大に噴出してしまった。

「やっ、ちょ、もー。そんな顔しなくても~」

 けらけらと笑いながら、神威の足を軽く叩く。この新しい『弟』は経験がまだ少ないせいか、外見と似合わない表情を作るときがある。
 それがおかしい、と言ってしまうのもアレだが、本人が真面目な分面白くて仕方ない。

「あはは……やっぱり楽しいわー、あなた」

 目尻に浮かんだ涙を拭いながら、神威に笑いかける。
 眉をひそめたまま、口を開こうとした神威に「早く連れて行かないと、落ちるわよ?」ソレとぼんやりとしているカイトを指差した。
 一瞬の逡巡の後、「……先に失礼する」と言い残し、リビングから出て行った。
 出来立てのつまみを引き寄せると、グラスに残っている酒を傾ける。

 ――たまにはこうして静かに飲むのもいいものだ。




 背中に触れた柔らかい感触に、うっすらと目を開けた。

「……神威?」

 視界を覆う紫の髪に、ぼんやりと名前を呼びながら手を伸ばす。
 リビングで飲んでいたはずなのに、どうしてこんなに薄暗いのだろう。
 優しく手を握られ、指先になにかが触れる。それが神威の唇だとわかった途端、指先に軽く歯を立てられた。

「―――っ!」

 慌てて手を引っ込めようとしたのだが、思いのほか強い力で握られほんの少し動いただけだった。

「神威、手を……」
「飲みすぎだな」

 不意に耳元で囁かれ、びくりと震えが体を走る。
 ――おかしい。神威も同じように飲んでいたのに……。
 その疑問をぶつけるようにきつく見ると、意味を汲み取ったのか小さな笑いが刻まれた。

「調整しながら飲めば、ここまで回らない」

 息を吹きかけるような呟きに、意図せぬものが湧き上がってきそうで神威の体を押しのけようとする。
 するり……と体の線を撫でられ、小さな声が漏れた。
 押さえようとするよりも早く、口付けに塞がれる。
 
「ん、んん……ぅ」

 口内を軽くかき乱す舌に、思考も乱されそうな錯覚を起こす。
 離れていく唇に縫い付けられたように、視線を動かすことが出来ない。
 その綺麗な形をなぞりたくて、なにかに唆されるままにそっと指で触れた。

 
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