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adore倉庫

右側兄さんのSS置き場。がくカイが主。
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Innocent fragileの後日談っぽいもの

絵師様に最後があんまりだと言われ、某所のキリリクを発動されました……w

神威verとKAITOverがあります。

こちらは神威verになります。
本編を読んでないと意味不明かも知れませんので、お気をつけ下さい。

 もうどれくらいこうして眺めているだろう。
 自分でもわからないが、手が空くといつもここに来て彼を見ている。
 深い海色の髪。かたく閉ざされた瞼の下には、自分に似た色の瞳があるらしい。
 静かに静かに、夢も見ずに眠っている顔。
 ――起動する予定はあるのだというが、元々マスターが所有していたわけではないらしく、そのあたりで手間取っているようだ。

「……お前はどんな声で歌うんだろうな……」

 しんとした部屋に響く独り言。
 知っているような気はするのに、はっきりしない。
 だからこそ、早く声を聞いてみたい。
 薄暗かった部屋に、ふいに一筋の光が入り込んだ。

「またここにいたの?」

 呆れたようにため息をつきながら、こちらを見ているメイコに短く頷き返す。

「飽きないわねぇ」

 困ったような、どこか嬉しそうな声音に「そうだな」と苦笑交じりに口にした。

「――マスターが呼んでるわよ。……だから、ほどほどになさいね?」

 そう言って部屋から出て行くメイコを見送ると、視線を彼に戻す。
 ふっ、と小さく息を吐くと、踵を返して部屋を出ようとした――刹那。

「――――!?」

 彼の姿が視界から消える一瞬、なにかが横切った。
 どこか憂いを帯びた笑みを浮かべた青年。――透き通るような青い瞳。
 確かに、彼だった。
 慌てて確認すると、いつもと変わらない横たわったままの姿がある。

「今のは……」

 体の奥でなにかが音を立てているような気がする。
 
 ――――さっきのは一体――。

 思考を巡らせようとした神威の耳に、マスターが自分の名を呼ぶ声が聞こえた。
 もう一度見れないかと、部屋中に目を凝らすがなにも映ることはなかった。
 再起動される前の記録が流れたのだろうか?
 
「…………」

 なにはともあれ、今の状況では落ち着いて考えることは難しそうだ。
 軽く頭を振ると、ゆっくりとリビングへと向かった。
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