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adore倉庫

右側兄さんのSS置き場。がくカイが主。
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吸血鬼ネタ+magnet

でうっかり浮かんでしまったもの。
別の方がものすごく素敵なものを書かれているのですが、様々な無言の圧力で書いてみましたw←

いつものように天然とクーデレです。

完全なるパラレルファンタジーなので、苦手な方は注意です。











 小さな窓から見える、薄くなり始めた空に目を細める。夜明けが、いつも以上に忌々しい。
 同じように外を眺めていたカイトに視線を戻す。
 羽織っただけの上着の襟元から、白い首筋が見える。無言で手を伸ばし、そっと輪郭を辿るように指を動かした。

「――――っ」

 零れる吐息とわずかに震える体。滑らかな皮膚が続いている――が、中ごろまで来たとき指の腹が歪な傷に触れた。
 かすかに盛り上がった皮膚と窪んだ皮膚。――先ほど、自分がつけたものだ。
 体が高まっていくにつれ、甘さを増す紅いモノ。一度知ってしまった味は忘れがたく、まるで麻薬のようにカイトの血を求めてしまう。

 ――――カイト……。

 確かに名前を紡いだはずなのに、音にはならなかった。

「……莫迦、ですね……」

 呆れが混ざった苦笑。その直後に、細い指が頬に向かって伸びてくる。
 当たり前のように頬を摺り寄せ瞼を閉じる。

「……朝がこなければいい……」

 ぽつりと落とした呟きに返ってくるのは、静かなまばたきだけ。
 
「また、会えるでしょう? それとも、もう来ないつもりですか?」

 勝気な――けれど、どこか泣きそうな――声音と共にカイトがうっすらと微笑む。
 空いている手をしっかりと絡め取りながら、見つめ返して同じように笑みを浮かべる。

「来るな、と言われてもお前のそばにいたい」

 容易に叶わないことだとわかっていも、確かな望みだ。

「……あなたが来てくれるなら、俺はここにいます。――ずっと」

 ――――共に堕ちてくれるんでしょう?

 そう儚げな微笑を作るカイトを抱き締めて、答える代わりに唇を軽く触れ合わせた。
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