ヤンデレとのー

某絵師さまが書かれたヤンデレ殿に触発されて書いたもの。
元になった絵は……許可をいただけたら上げにきます。

　赤い赤い色。ニセモノの色。
　それなのに、こんなにも鮮明だ。
　力なく床に置かれた手をそっと握り締め、頬に引き寄せる。
　
　――――まだ、あたたかい。

　さっきまで動いて、普通に話していた想い人。
　どんなに想っても、伝わらなかった気持ち。――この人の一番は　　　　だったから……。

「ずっとこうして触れたかった……」

　誰に聞かせるでもなく呟いて、赤にまみれた手の甲に唇を落とす。
　甘い、と感じる。
　信じられないものでも見るような表情のまま張り付いた顔を見つめて、小さな笑みを零した。

「お前だけが欲しかった」

　主でも音でもない、彼だけが。
　
　――――やっと手に入れた。

　もう誰にも触れさせない。見つけさせるつもりはない。ここにいるのだ――このままで。

「――愛してる、カイト」

　呟いた言葉と共に、ひどい幸福感が体中に広がっていくような気がした。