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adore倉庫

右側兄さんのSS置き場。がくカイが主。
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駄々っ子2(?)

天然殿とクーデレ兄さんの日常。
ちなみに天然はおもいっきりわんこです。






 耳に心地よい歌声の元をじーっと見つめる。

「…………」

 ほんの一瞬だけ、こちらに向いた視線に思わず顔が綻ぶ。
 またすぐ戻ってしまった顔にため息をつきながら、椅子の背もたれに顎を乗せた。
 カイトが譜読み始めてどれぐらい経っただろう。
 のんびり過ごせるはずだったのに……マスターが持ってきた緊急の仕事のせいで、こんな状況になってしまった。
 とりあえずは音あわせだから――と言っていたからすぐ終わるかと思っていたのだが、カイトの性格からしてそれは無理だったらしい。
 納得のいくまで音の高低を合わせるカイトをさっきから見つめているだけになっている。

「……神威」

 もらった楽譜から顔を上げ、小さく息を吐きながらカイトがこちらを見てくる。

「……そんなに見られてると落ち着きません」
「……だめか?」

 呆れたような表情を浮かべてそう呟くカイトをそろりと見上げながら返す。
 相変わらず困ったような表情のまま返ってきた言葉に、俯いて深い息を吐く。
 そのまま黙っていると、ふいに頭上に何かが触れた。そろりと視線をやると、すぐそばにカイトの顔がある。

「もう少しで終わりますから……」

 少し顔を背けられて零された言葉に、そっとカイトの手に唇に引き寄せて「待ってる」と満面の笑みを浮かべた。
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