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右側兄さんのSS置き場。がくカイが主。
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ぬこ殿と歌えない兄さんネタ(ほのぼのな感じ)

 カーテンの隙間から入ってくる陽だまりの中で、ぼんやりとしていた。視線は部屋の中を見るように動くのに、うまく認識されなかった。
 きっと、この暖かさと膝の上にあるぬくもりのせいだ。
 放って置けなくて勝手に連れてきてしまったけど、困った顔をしたマスターは結局許してくれた。
 ――その代わり、アイスが少し減ると言われたけど、それぐらい我慢できる。
 だって、あんな寒いところに一人で置いてきてしまうほうが、よほど痛い。
 不思議な猫(多分)だと思う。人間みたいに見えるのに、それは僕だけにらしい。マスターは普通の猫にしか見えないといっていた。
 どうして、僕にだけこんな風に見えるんだろう。――人間、じゃないからかな。
 陽光を受けて膨らんだ尻尾をそぅっと撫でる。
 ちゃんとご飯を食べているせいか、毛並みもよくなって、うっかり病みつきになりそうな手触りになっている。
 触りすぎたのか、耳の先が動かされた。
 慌てて手を離して、頭を撫でる。かすかに聞こえた喉を鳴らす音に、ほっと胸をなでおろした。
 壁にもたれて、窓の向こうに広がる寒空に視線を移す。
 すっかり葉が落とされた茶色の枝が、風に吹かれてゆらゆらと揺れている。
 今日は風が強いみたいだ。部屋の中に満たされている暖かさからは想像できない。
 膝の上に置かれた紫の髪を撫でて、目を閉じる。穏やかな顔をしているこの子の眠気が移ってきたみたいだ。
 少しだけ眠って、起きたら夕食の買い物に行かないと……。きっと、もっと寒くなるだろうから暖かいものにしよう。
 聞こえる寝息にうとうとしながら、ぽつりと呟く。

 ――――君も一緒に買い物にいく?

 紡がれない音を拾うように耳が動いて、うっすらと瞼が開けられた。僕より明るい青い瞳に「当たり前だ」というように見つめられて、小さな笑いを浮かべた。
 
 ――――じゃあ、もうちょっとだけ、寝てからね?

 僕がそう返すと、這い登ってきた彼に押し倒される。驚いたのものの、そのまま首筋に顔を埋めるように寝入ってしまう。
 ……暖かい、けど重い。どかそうにも起こしてしまいそうだし……。

 ――――……まぁ、いいか。

 そうぽつりと思うと、彼の背中を撫でながら眠るために瞼を閉じる。
 ――ああ、そうだ。そろそろ名前、決めないとなぁ……。
 喋れるみたいだし、起きたらどんなのがいいか聞いてみよう。

 ――――二人だと、あったかいね。

 自然と緩む口元を隠すように、彼のぬくもりに顔を寄せた。
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