黒いにーさん。続きません。

なんとなーく、こんな兄さんもいいじゃない！と思ったものです。
某絵師さまのほのぼのな殿に触発されました。あまりの純粋っぷりに襲いたくｎ(ry

　――――のんきなものだ。

　マスターからもらったらしい、インターフェイスもどきと接続確認をしながら遊んでいる様子にそんなことを思う。
　この家に、自分より先にいたVOCALOID。新型が元々いるところに、旧型の自分を招くなんて……。
　のんびりとした人柄を思い出し、あのマスターならやりそうだと納得する。
　今までされた扱いを考えると、ここの穏やかな空気になかなかなじめない。
　ようやく得たマスターなのに、先にいたのは新型で……それも、かなり良好な信頼関係を気づいている。
　恵まれなかった自分の境遇を思い返し、ふと『壊してしまいたい』という欲求に駆られる。
　旧型の自分ですらヒトとさほど変わらない感覚があるのだから、新型の彼はもっと研ぎ澄まされたものを組み込まれてるだろう。

　――――それなら……。

　簡単に壊してしまえる。
　気付かないうちに歪んでいた唇を形のよい笑みに変えて、そっと彼に近づく。
　手を覆った影に不思議そうに顔を上げた彼に、そぅっと口付ける。
　大きく見開かれた瞳に、くすりと笑い、首筋に唇を寄せる。
　
　……堕ちてくればいい。同じヒトに作られたのに、あなただけそんな暖かな場所にいるなんて――。
　遠慮がちに背中に回された手が、なぜかとても嬉しかった。