adore倉庫
右側兄さんのSS置き場。がくカイが主。
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暗すぎて、自分で反省…(次の記事に続いてます)
治まらないノイズ。霞む視界。もうなにもわからない。
指先の感覚――だけではなく、働いてなくてはいけないすべてのものがひどく鈍い。
焼ききれたような白い世界で、自分に向かって伸ばされている影。
おそらく、頬を撫でている。きっと、あの人のことだから労わるように、辛そうな顔で。
――――そんな風に、思わなくてもいいのに。
ツクリモノだから。いつかは壊れてしまうとわかっていたから。
安心させるように、小さな笑みを浮かべる――うまく出来ているかはわからない。
「――――っ!」
途端、体を走る痛みに似た衝撃と熱に体が震え始める。
「あっ、……っく――ふ」
自分では抑えることの出来ない震えを沈めてくれるかのように、背後から抱きしめられた。
伝達が上手く行かない腕をなんとか動かして、そっと手を重ねる。
どうして、先だったんだろう。
「だいじょ……」
喉がざらついて、単語ひとつすらまともに紡げない。好きだといってくれた声も、もう出せない。
ゆっくりゆっくりと顔を上げ、視線を合わせようとする。おぼろげな輪郭しか見えないが。
――――忘れないで、ほしい。
そんな不相応なことが頭を占めていく。
修理をされて戻ってこれるかもしれない。でも、全部覚えている保証はない。
自分は真っ白になってしまうのに、なんて身勝手なんだろう。
自嘲を浮かべることすら出来ない体が憎らしい。
見上げたまま、体を預ける。
――もっと、素直になればよかった。
触れていると、隣にいると安心すると伝えらればよかった。
――もし、このまますべてを記憶したままで帰ってこれたならそのときは――。
意地もプライドも捨てて、言葉を口にしよう。
大切でかけがえのない存在に。
そう思いついて、かすかに微笑みかけたとき、世界が遮断された。
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月森
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