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右側兄さんのSS置き場。がくカイが主。
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ファンタジーな感じでがくカイもどき

 恐る恐る前髪に触れてくる指に気付かないふりをして、狸寝入りを続ける。
 その手が頬を撫でたとき、少しだけ震えてしまったが、おきているとは思わなかったらしい。すぐに手が引っ込められた。
 再び伸びてきた指を払うように寝返りを打った。背後で零された熱いため息にそっと目を開けた。

 ――――気付いたのはいつだろう。

 ぼんやりといつかの夜を思いだす。今日と同じように、どこか追い詰めた表情で、起こさないように触れる指。
 まるで壊れものに触れるかのような優しさに、彼がどんな気持ちなのかわかってしまった。
 パートナーとしては抜けているところもあるが、解消するほどではない。

 ――――でも。

 彼の気持ちに応えられるか、と訊かれると返す言葉がなくなってしまう。
 受け入れることも、拒絶することも、まだ出来ない。
 嫌いではないと思う。どうでもいい相手とは一緒にいたくないし、自分の性格上、どこかで見捨てるはずだ。
 
「……カイト……」

 吐息混じりに名前を呼ばれ、思わず肩が跳ねた。
 起きているのがばれてしまったんだろうか……。
 やたらとうるさくなり始めた鼓動を押さえながら、じっと動かずに毛布を握り締める。
 近づく気配。
 どうすれば……と思っていたとき、ふいに頬に温かいものが触れた。
 柔らかい感触。耳触れる、熱い息。
 しばらくして、それが唇だと気付く。
 熱が離れた瞬間、「まだ触れていてもいいのに……」と思ってしまった。

「――――おやすみ」

 短く呟かれ、遠ざかっていく気配に、なぜかほのかな寂しさを感じたのはきっと気のせいだろう。
 ――眠れば、いつも通りの自分になる。
 そう思い、再びきつく目を閉じた。
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