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adore倉庫

右側兄さんのSS置き場。がくカイが主。
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兄さんのアレを目指して失敗した感たっぷり。

なすぽでのるしあさんの某絵チャログと等価交換(になってるのかナゾ)として、書いたもの。
クーデレ兄さんが壊れてます。それでもおkという方は、続きから。
やたらと長い上に、大変残念なクオリティですよー。

一応、R-18で。

駄々っ子な感じ
これと微妙に繋がった気がします……。











 マスターと神威が友人に呼ばれ、家を出てからどれくらい経つのだろう。
 初めのうちは気にならなかった日数も、二桁を越した辺りからカレンダーを気にしてしまうようになった。
 滞在予定はおよそ一週間。だから渋る神威をなんとか説得し、送り出した――自分の内側にあった同じ想いを押し込めて。
 たかが七日間だと、神威にも自分にも言い聞かせた。それなのに……。
 なんの連絡もなく、ただ過ぎて行く日々に気分が落ち着かない。
 リビングに誰もいないことを確認してから溜息を付く。
 マスターと神威。二人の性格から考えて、連絡がない、というのはどう考えてもおかしい。
 なにか、連絡できない事情でもあるのだろうか……。なにもなければいいのだが。

「……暗くない?」

 急にかけられた言葉に、はっとして顔を上げる。もう一人の留守番組のメイコだ。
 マスターの部屋からひょっこりと顔を出し、こちらを見ている。

「……なにがですか?」

 咄嗟に笑みを浮かべるが、「……ふぅん」と興味がなさそうな――けれど意味深なまなざしと声音。
 振り切るようについ「なんでもないですよ」口早になってしまった。

「ま、あたしのことじゃないからいいけど……強がるのも過ぎるとわからなくなるわよ?」

 呆れたように呟かれた後、ふんわりと微笑まれ、そうそうと思い出したように口にする。

「メール、来たんだけど……」

 一瞬前の優しげな微笑みはどこへ……と思うほど、子供がいたずらをするような笑みに変わっていた。

「なんか、向こうにいるVOCALOIDの調整に手間取ってて、帰るの遅れてるみたいよー」
 
 ――そうだ、確かそんな話だった気がする。
 神威の発音が向こうに合わせやすいと言って、指名されていた。
 招くように開けっ放しにされたドアに言い訳を見つけて、メイコの後を追うように部屋に入った。
 PCの前に座り手慣れた様子で、メイコが添付ファイルを開く。起動したムービーファイルに映し出された姿に視線が捕われた。
 見慣れた長身。その隣に立つ知らない女性。
 長い桃色の髪にゆるやかな曲線を描く体――きっと、あちらにいるVOCALOIDなのだろう。
 なにかの指示を受けた後、神威のほうをちらりと見る。彼女に気付き、穏やかに笑う顔。
 深呼吸の後、紡ぎ出された旋律になぜか苛立ちを覚えた。
 踵を返してドアへと向かう。

「カイト?」
「……部屋に戻ります」

 それだけ言うと、ドアに手をかけた。



 自室に帰れば落ち着くと思っていたが甘かったらしい。
 一人になった分、余計に思考がそちらに持っていかれてしまう。
 久しぶりに見た神威に安心したのも事実だ。それなのに、見知らぬVOCALOIDに笑いかけた顔を見た途端、気持ちがざわついた。
 自分の知らない場所で、知らない誰かに見せる、知っている顔。
 堂々巡りしかしなくなった思考を振り切るように立ち上がり、キッチンに向かった。
 どうせ気分が落ち着かないのだ。それならいっそのこと酒を飲んで、無理にでも気分を晴らしたい。それに誰も止めるものはいないから、酔った姿を見られることもない。
 そう決めてしまうと、以前神威と飲んだままになっていた瓶とコップを持って、寝室へと向かった。


 ベッドに凭れながら、一人で酒を煽る。もう少し正常な思考だったら、どうあっても止めただろう。そんなみっともないことをするのは自分じゃないと。
 もしくは他人の目があれば、まだしなかったかも知れない。
 そのどちらもない今は、湧き上がった一時の感情に流されるままコップを空にしていく。
 何杯飲んだのかわからなくなったころ、酔いが回ってきたのか頭がふらりとよろけたような気がする。
 心地よい酩酊感にそのままうとうととし始めた次の瞬間、突然脳裏にばちりとした閃光が弾けた。
 
「――――!?」

 ぱちりとまばたきをすると、意思と反して記憶が勝手に再生され始める。
 しかも、触れ合っているときの記憶……。
 慌てて止めようとするのだが、酔いのせいで上手く行かない。それどころか……。

「あ……?」

 感触や息遣いなど克明に思い出した体が予想していなかった反応を示し始める。
 自分の体に起きた変化に羞恥で頬が熱くなる。どうにかしようと、戸惑いながらそろりと下肢に手を伸ばす。
 
「……ッン……」

 触れた瞬間に走った刺激と思いもよらない熱さに眩暈がした。

 ――――カイト。

 再生される中で聞く名前を呼ぶ掠れた低い声に、なにをしているのかわからなくなってくる。
 ただ湧いてくる悦楽に唆されるままに手を動かす。

「や、ぁ……違っ……」

 誰が見ているわけでもないのに、ほんのわずかに残っていたらしい理性がこの状況を取り繕う言葉を吐き出させる。

「んっんっ……」

 先走りが溢れ始めた先端を滑るように撫で、茎を擦り上げる。
 乱れ始め、純粋に快楽だけを追い始めた頭が――足りない、と囁く。
 これだけじゃ足りない。まだもっと……。
 じっと片手を見つめ――けれど自分で濡らすにははばかられ、目に付いたコップの中へと指を浸す。
 たっぷりと水分をまとわり付かせると、そろりと後腔に指を忍ばせた。

「……っぅ、く……」

 自分の指を呑ませるなど、滅多にない行為に生理的な涙が浮かぶ。なんとか奥まで導こうと、乱れた息を整えようとするがままならない。
 浅い場所をひっかくように指を動かしてみると、それだけで膝が震えた。
 
 ――でも、まだもっと……。

 正常の考えですら打ち砕く場所はもっと奥にある。
 ……どうせ自分の体だ。傷ついても構わない。それよりも今はこの疼きをどうにかしたい。
 そう思い、無理に指を押し進める、――と。

「っ! あ、ああっ!!」

 腰が跳ね、押さえきれない声が口を付いて出た。
 ひどく感じる箇所を掠めたのか、体ががくがくとわななぐ。
 けれど、すでに陥落しているか思考と体は貪欲にそれを求めて動き続ける。
 記憶の中にある神威の動きを真似ようとするものの、上手く出来ない。それがまたもどかしさを生み、さらに悦に繋がる。

「や、ぁっ……もぅ……」

 ――――まだ、もう少し……。
 
 聞こえる幻聴に首を振って限界を訴える。触れてくれないくせに。他の誰かに笑いかけるくせに。
 いつも、そばに、いるくせに……。

 ――――カイト、愛してる――。

「!? っん……―――っ!」

 ひときわ大きく震えた体が、白濁した熱を吐き出し、後腔の指がきつく締め付けられる。
 荒い呼吸を繰り返しながら、熱の去った体に沸く虚無感をかぶりを振って追い払う。
 いつか言われた言葉。すぐに返せなかった言葉。――意地なんて、なんて邪魔なものなんだろう。

「…………」

 ぽつりと吐息混じりに呼んで、縮こまるように自分を抱きしめる。
 ここまで、張れるのも相当珍しいのかもしれない。

「……莫迦」

 深く長い息を吐くと、もう一杯だけ酒を煽り、そのままベッドにもぐりこんだ。
 布団からかすかに香る匂いに、むーっと眉根を寄せる。
 
「……早く帰ってこないと、知りませんからね……」

 悔し紛れに呟いて、枕に顔をうずめた。



  

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