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adore倉庫

右側兄さんのSS置き場。がくカイが主。
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吸血鬼ネタ

絵チャで描かれたK1さんのイラストをもとに。
子カイト風味と吸血鬼な殿。
兄さんが病んでいるのはデフォですといいt(ry






 視界に映る、穏やかな寝顔。会ったときから変わらない、冷たい顔もこのときだけは優しくなるような気がする。
 そろり……と手を伸ばし、胸元を暴くようにボタンを外していく。
 ……どれぐらいの時間が経っただろう。この人に会って、そのまま旅についてきてから。
 成長していくカイトとは反対に、彼に変化はなかった。
 ――――でもきっと、自分も同じようになっているのだろう。
 無理やり、そうさせた。ずっとそばにいたかったから。なのに……。

「……なんで、僕を見てくれないんですか?」

 餌としてなら連れて行ってやる。そう言ったのに、彼が血を吸ったのは、脅して同じものにしてもらったときだけだ。
 あらわになった胸元に耳を当てる。聞こえてくる規則正しい鼓動が、なんだかとても悲しかった。
 体を起こし、握り締めていた銀色の光で捕らえる。

「……どうしたら、貴方のことを僕のものに出来ますか?」

 返って来る言葉はなにもないとわかっていても、つい口にしてしまう。
 餌にすらしてくれないのに、傍に置かれてる理由がわからない。
 食事に出かける彼を止めても、聞いてくれない。それならいっそ――。
 ナイフを握る手に自然と力がこもった。

 ―――プツリ―――と音にはっと我に返る。切っ先と彼の胸に、小さな小さな赤い花が咲く。

「……あ……」

 かすかに震え始めた手がナイフを取りこぼそうとしたとき、思いがけないことが起きた。
 彼の手がナイフを握っていた手を掴み、自分の喉元へと導く。

「や……ッ!」

 少しでも動かせば皮膚を裂いてしまいそうな位置に、慌てて手を離そうとする。が、それは許されなかった。
 そのまま食い込ませるように手を押し付けられ、皮膚を傷つけた感覚が伝わってきた。

「殺したいなら、ここを一気に引き裂けばいい」

 無感情な薄青の瞳がじっとカイトを見ながら、そう零す。

「違……そんなこと……っ!?」

 思ってないと続けようとした言葉が、気まぐれに重ねられた唇に封じ込められた。
 どうして……と混乱する頭よりも、触れられたことに嬉しさを覚える体から力が抜けていく。

「んっ、……ふぁ……」

 歯列をなぞり、割って中に入ってくる舌を噛んでしまわないように口を開く。
 くらくらし始めた視界が反転し、ベッドに押し付けられたことを教える。

「……まだ、だな」

 呟かれた言葉の意味がわからずに陶酔の面持ちでまばたきをすると、首筋に顔を埋められた。

「な、に……?」
「余計な血を流した」

 ああ……と理解したのと同時に、牙を立てたられた。一瞬の痛みの後に生じる抗いがたい悦楽。
 
 ――――僕の血を飲んでる。

 神威の意図もわからないが、望まんでいた行為に嬉しさが湧き上がる。
 少しでも長くこのときが続くようにと、抱きしめるようにきつく服を握り締めた。
 


 
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