adore倉庫
右側兄さんのSS置き場。がくカイが主。
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吸血鬼もどき。雰囲気エロですにゃー。
吸血鬼ながくカイというの好き過ぎて、ちょこちょこ設定を変えては書いてみたりしてますw
これもそのうちの一つ。雰囲気エロ書くときに吸血行為とかって便利ですよね☆(ぇ
これもそのうちの一つ。雰囲気エロ書くときに吸血行為とかって便利ですよね☆(ぇ
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サイハテが元。死後ネタ。カイトとマスター。
『彼女』はマスターのお姉さんです。
カイマスとありますが、取りようによってはマスカイにも。
基本、カイマスで話を考えてしまうので(汗)。
カイマスとありますが、取りようによってはマスカイにも。
基本、カイマスで話を考えてしまうので(汗)。
グロ&カニバ注意。
カイマスカイで兄さんがもしゃもしゃしてます。
平気な方のみ、続きからどうぞー。
平気な方のみ、続きからどうぞー。
独奏歌が元にしたSS(兄さんのみ)
千年続いた歌の終わり。そこにあるのは、つかの間のしあわせといつか過ぎた日々。
村から見上げたときはそうでもなかったが、いざ上ってみると結構な距離だった。
少年は後ろからついてくる自分より大きな影を見ながら、軽くため息をついた。
「なに、だらだら歩いてるんですか? 早く行かないと間に合わないかも知れないんですよ?」
「あー、千年も歌ってんだから、そんなすぐ『はい終わりました!』ってこともないだろ?」
「……あるかも知れないから、僕らが来たんでしょうが……」
まったく、この人はいつもそうだ。と一人ごちる。
初めて会ったときも、気のない返事で名前を名乗っただけ。
それから、半年ほどの月日が経つが、本来しなければならないことを教えてもらった記憶は無い。
「つかさ、ほんとに最期なのか?」
相変わらず速度を変えずに青年が少年に尋ねる。
しばらく少年は黙ってうつむいていたが、意を決したように顔を上げた。
「ええ」
短くそれだけを口にし、前方に見え始めた丘を睨むように見つめた。
木の下にぽつんと小さな影。その側に長身の影が佇んでいる。
登っているときは途切れ途切れに聞こえていた旋律が、今ははっきりと聞こえてくる。
長身の影が時折、踊っているかのように動く。
「……俺にはそんな風に聞こえないけどな」
「雑音がひどいですよ、それに……声もこんなんじゃない」
頂上にたどり着き、視界に入った光景に言葉を失った。
身に着けていた衣服はあちこちが擦り切れており、茶色に変わっている。
旋律とともに動く腕は、人工物である証がむき出しになっていた。
おぼつかない足元から、視力も相当落ちていることがわかる。
なにかをこらえるように瞳を閉じ、深呼吸をひとつ。瞼を持ち上げ、少年は影に歩み寄った。
踏みしめた土が声を上げる。ふ……と影が歌うことをやめ、こちらを向いた。
自分と同じ青い瞳を少年はまっすぐに見つめ返した。
「マスター?」
自分に近寄ってくる足音に歌を止め、振り返る。
今は夜だっただろうか? 暗くてよく見えない。ただ、ぼんやりと誰かがそこにいるのはわかった。
曖昧な影に近寄ろうと足を前に出した瞬間、体が崩れ落ちた。
「――――っ!?」
なにが起きたのかわからなかったが、地面に倒れこむ前に支えられた。
「……マスター、なんですか?」
俺の体を支えている気配にそう訊ねる。
「……違いますよ、間違えないで」
どこかつらそうな声だ。なにか気に障ったのだろうか。
「僕らにとって、とても大切な存在を間違えないで下さい」
成長前のまだ幼い声。……どうしてだろう、どこかで聞いたような声だ。
ゆっくりとまばたきをする。繰り返すうちに幾分か視界がクリアになってくる。
青い短い髪。不安げにゆらゆらとしている深い青い瞳。ちりちりと頭の奥が騒ぎ出す。
誰、の顔だろう。とてもよく知っている、見慣れた……。
『カイト』
不意に背後から名前を呼ばれた。大切な声。
「マスター?」
相変わらず、ぼやけた景色に声をかける。その声に答えるように、ゆっくりとその人の輪郭が浮かび上がる。
俺より少し低い背丈。年の割りに幼く見える顔つき。
忘れることなく刻まれていた面影。
『待たせてごめん。迎えに来たんだよ』
見ると暖かい気分になれた微笑と伸ばされた手。
『ずっと歌っててくれてありがとう。おかげで、迷わず君のところに来れた』
ふわふわとくすぐったい柔らかい声。
「マス……ター……」
あのとき、先に逝ってしまった人。
「本当に……一緒に行っても、いいんですか……?」
伸ばされた手が信じられず、マスターを見つめてぽつりと零す。
一瞬、笑顔が消えきょとんとした表情を浮かべたが、すぐにまた笑みが作られた。
『当たり前だよ。さ、行こう?』
また一緒に歌おう?
笑みを湛えたまま、マスターが首をかしげる。
息が詰まりそうになった。瞳の奥がちりちりと熱い。
「――――はいっ!」
勢いよく頷いて、マスターの手を取る。驚いたように瞳が大きくなり、その後、仕方がないというような微苦笑を浮かべられた。
「うっわっ!」
唐突に重くなった彼を支えきれなくなり、少年は押し倒されるように地面にぶつかった。
「……なにしてんの?」
呆れたように呟きながら、青年が少年を見下ろしている。
「……のんびり来た人に言われたくないです」
睨み付けるようにそう返し、彼を傷つけないように体を起こす。
「本当に終わったんだな」
少年越しに彼を見ながら、青年が独り言のように口にした。
「だから、言ったでしょう? もうすぐ終わるって」
「ああ、そうだったな」
よっと掛け声を出しながら、青年が彼をかかえるように抱き上げる。
「ちょ、傷つけないでくださいよ?」
「……お前さ、俺のこと結構いい加減な人間だと思ってるだろ?」
「そうじゃないんですか?」
「あのねぇ……」
どこか疲れたような青年の声を無視して、少年は木の下に佇む石碑へと近づいた。
かつて刻まれていただろう名はすでに消えていて、誰のものかわからなくなっている。
瞼をゆっくりと閉じ、大きな呼吸をひとつ。
そして、先ほどまで歌われていたウタを紡ぎ始めた。
止まってしまった彼の代わり、というわけではない。ただ、自分には――自分たちにはそれしか出来ないから。
きっと、止まってしまう瞬間、彼は彼の大切な人に会えたのだと思う。
穏やかに笑っていたから。
二人が迷わないように、道しるべとして歌を紡ぐ。
気の遠くなる間、彼がたった一人で奏でていた歌を。
「……全然違うな」
歌い終わった後、青年にそういわれ、少年は思わずムッとした。
「仕方ないでしょう。どこかの誰かきちんとしてくれないんですから」
「おーおー、怖いねぇ……」
「ホントに分かってますか?」
せっかくいい気分だったのに、すべて台無しにされた感覚だ。
いらだつ気分のまま、青年を追い越し丘を下り始める。
「お前は歌ってくれるか?」
唐突に背後からかけられた言葉に「はあ!?」と少年が声を上げる。
「俺が死んだ後も、こうやって歌ってくれるか?」
「なに馬鹿なこと言って……」
いつものたわごとだと思ってあしらおうとしたのだが、青年が浮かべていた表情に言葉が詰まった。
見たこともないような真剣な顔。
彼と彼の主に刺激されたのだろうか?
それならば、もっとやる気になってもらわなければ困る。
少年は小さく笑って、青年を見つめる。
「あなたの腕次第、ですね」
「……可愛くねぇなあ」
「今までの放置っぷりを省みてくださいね」
さらりと言い放つと、大きなため息をつかれた。
「まあ、色々と頑張らせていただきますよ」
ふてくされたように言う青年に、少年は隠すこともなくくすくすと笑いを零した。
「期待してます、マスター」
HN:
月森
性別:
非公開
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